不妊症の治療

1.排卵障害

不妊の原因として頻度の高いもので、排卵誘発剤を使い治療します。排卵誘発剤には排卵障害が軽度な時に使う内服薬(クロミッド・セキソビット)や重症な時に使う注射薬(HMG)があります。

a..クロミッド療法

クロミッドは脳の視床下部に作用し、卵胞を発育させて排卵を促します。内服薬のクロミッドを月経の5日目から5日間、1日1〜3錠内服すると、内服開始後10日目から14日目に多くの方に排卵が見られるようになります。

b.HMG−HCG療法

生理開始3〜5日目から卵巣を刺激し、多くの卵胞を発育させるHMG製剤(ヒュメゴン、パーゴグリーンなど)を注射し、卵胞が成熟すれば、排卵を促すHCGを注射し排卵させる方法です。

●排卵が起こりにくい原因

1.多嚢胞性卵巣症候群

卵巣をおおう皮膜が厚く、排卵がおこりにくい病気です。血液検査では黄体化ホルモン値(LH)が高く、また男性ホルモン値(テストステロン)も高くなることがあります。治療は先ずクロミッド療法を行いますが、反応しない場合はHMG−HCG療法を行います。
漢方薬(芍薬甘草湯)を併用することもあります。

HMG−HCG療法を行った場合、多胎妊娠や卵巣が異常に腫れて、腹水や胸水がたまる卵巣過剰刺激症候群になる可能性があります。

2.メトフォルミン療法

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では、卵巣内のアンドロゲン(男性ホルモン)濃度が上昇し、 これによって卵の質の低下を招きます。

糖尿病の治療薬であるメトフォルミンがアンドロゲン産生を抑制することが報告されており、PCOSの方にはメトフォルミンを投与します。

3.高プロラクチン血症

血中のプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が高いために排卵がおこりにくいことがあり、これを高プロラクチン血症とよびブロモクリプチン療法を行います。内服薬であるブロモクリプチン(テルロン・パーロデル)を1日に1〜2錠を妊娠するまで服用します。

2.卵管障害 (通過性が悪い、 周囲との癒着があるなど)

子宮内膜症、クラミジア感染症が原因であれば、治療しますが、両側の卵管が完全に閉塞している場合、体外受精治療を考慮します。

3.精子減少症・精子無力症

精子が少ない方の治療の基本は次の2通りです。第一は、精子の数を増やす治療を受けることです。第二は少ない精子を有効に使って妊娠するよう試みることです。その方法として、濃縮洗浄人工授精法、体外受精、顕微授精があります。

4.黄体機能不全

基礎体温表で黄体期間すなわち高温相が11日以下の方は黄体機能不全の可能性が高く、ホルモン剤の内服や注射が治療に有効です。

5.子宮筋腫、子宮内膜症を合併している時

子宮筋腫の大きさや発生部位によっては子宮筋腫を核出する手術を行うことがあります。子宮内膜症が不妊の原因と考えられる時も治療を行います。治療には手術療法以外に、ホルモン療法、アルコール固定療法があります。

6.精子に対する抗体がある

女性の血液中の抗精子抗体を調べます。抗精子抗体が陽性の方は、体外受精法以外の方法では妊娠しにくいと考えられますので、体外受精をお勧めします。

7.夫婦生活がうまくできていない

勃起不全の場合はバイアグラの服用が有効です。

8.原因不明

すべての不妊症検査で明らかな異常がない方は、不妊症夫婦の約20%を占めると考えられています。