子宮頸がんワクチンの安全性について
前提として、日本以外の多くの国では子宮頸がんワクチンの有効性と安全性は科学的データで証明されており、積極的にワクチン接種が推奨されています。
オーストラリア・イギリスなどではワクチン接種率が80%を超え、オーストラリアでは近い将来に子宮頸がんはほぼゼロに近づくとする統計データも出ています。
しかし、日本ではショッキングな副反応疑いの報道から、積極接種が推奨されていた時期の70%から最低で0.6%までワクチン接種率が低下しました。
その誤解を解くべく行われた研究が名古屋スタディと呼ばれるものです。
子宮頸がんワクチン接種と因果関係が示される副反応はないことを示した論文
下記の24項目を7万人中にアンケート調査を行い、約3万人の回答を得て解析した研究です。
全ての項目において、統計学的に有意な因果関係はない(有意差なし)という結果でした。
出典:No association between HPV vaccine and reported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results of the Nagoya study:S Suzuki et al. Papillomavirus Research volume5, June 2018, 96-103
(補足)
オッズ比とは?⇒相対危険度を表します。
例えば、辛い物を食べるとお腹をくだすオッズ比が2.0と仮定すると、辛い物を食べるとお腹をくだすリスクが2倍になるということです。
統計学的に有意な因果関係がない(有意差なし)とは?⇒サンプル数や発生確率などを統計学的に処理して、誤差の範囲内を脱しない(誤差の範囲内である)。
(例)
⑮肌荒れのオッズ比は0.78です。これは子宮頸がんワクチンを接種した人の方が接種しない人よりも肌荒れになるリスクが0.78倍と低かったという事実です。いやいやワクチン接種で肌荒れ改善なんて・・・と直感で誰もが思うでしょう。正にその通りで、24項目全てで統計学的に有意な因果関係はなかった=誤差の範囲内でしたという結果なのです。
つまり、事実として肌荒れを訴えるリスクは0.78倍だったが、誤差の範囲内ということです。
同様に、全ての項目で有意差なしであったとうことは、ショッキングな副反応疑いとされた⑳オッズ比1.2や㉒オッズ比0.55も誤差の範囲内ということになります。
子宮頸がんワクチンの有効性と安全性が1人でも多くの方に伝わって、日本から子宮頸がんが減るのを願います。