AMHとの向き合い方(総論)
今回次回は、論文を基にした情報紹介ではなく、「AMHとの向き合い方」つまり、AMHの値をどう解釈すべきかを紹介します。
AMH2.5未満の方は妊娠するまで妊活を継続して欲しい
AMH 2.5は、概ね35歳相当のAMHです。
私見になりますが、1回の採卵個数が10個の境目くらいな印象です(当院で採卵した場合AMH2.5だと採卵個数10個以上の期待ができますが、AMH2.5未満だと採卵個数が10個を超えることは多くありません)。年齢によって違いますが、1回の採卵個数が10個を下回ると、1回の採卵(そこで獲得できた受精卵)で妊娠できる確率(採卵が1回だけで済む確率)が割と下がる印象です。
もちろん、AMHが低い≒年齢が高いことが多いため、1回の胚移植の妊娠率が下がることもリンクしますので、AMHが低いからといって一概に急いで体外受精(採卵)に進むべきとは言えません。しかし、体外受精開始時のAMHが低いと採卵回数が多くなってしまう傾向にあることは間違いありません。
したがって、年齢が若くてもAMH2.5以下の人が妊活を2-3年休んだ場合、妊活再開時には当然更にAMHが低下しています。もしその時に一般不妊治療で妊娠できず、採卵に至った時、結果的に治療が難渋する(採卵回数が多くなる)リスクが増します。
そのため、AMHが2.5未満の方は妊娠するまで妊活を継続して欲しいと個人的には思う訳です。もし、一般不妊治療で妊娠しなくても、継続的に1年以内に採卵まで進んだなら、そこまで治療が難渋せずに済むかな、と。
なんとも歯切れの悪い文章なのは自覚しています。
一方で、歯切れの良い文章「AMHが低いと急いで体外受精すべき」や「AMHが低いことを理由に体外受精を勧める医師はおかしい」や「AMHが低くても自然妊娠できる」などの文章はいずれも一面を切り取った文章で真理ではありません(鵜呑みすべきではない表現です)。ただ、各人の真理が難しいのもまた事実です。
次回の具体例解説でご理解頂けると思います。