不妊治療の保険適応化 ① / ⑥
4/1からの不妊治療に対する保険診療は、人工授精や体外受精が保険適応になるなど大幅な変更があります。
保険診療は自己負担額が3割であり、状況によっては高額療養制度の対象となることでコスト的な負担軽減という恩恵を受けられる場面があります。
一方で公的保険を利用した体外受精においては一概に恩恵だけとは言えず、トータルでは負担増となることもあり得ます。公的保険を利用した体外受精においては、お伝えしなければならない煩雑な項目が非常に多いので、複数の記事に分けて書きます。
HPブログ内の「体外受精の保険適応化」については、全ての記事を読んで頂きたいです。
人工授精における恩恵は非常に大きい
明らかにコスト負担減であり、自費診療時と治療レベルも変更しなくて済む(治療レベルを落とさなく済む)ため、恩恵しかないです。
人工授精のハードルが下がることは非常に喜ばしいことです。
そもそも保険診療とは?
ざっくりいうと「厚労省が認めた治療と検査のみで行う診療」のことです。
逆に言えば、「混合診療(自費診療の併用)は認められない」ということです。
これらを前提条件として「保険診療の恩恵と保険診療による制限」をご理解頂きたいと思います。
保険診療でのシンプルな体外受精でサラッと妊娠できる方への恩恵は非常に大きい
後述していきますが、保険診療での体外受精には様々な制限があります(今まで行われてきた自費診療を併用できない(混合診療は認められない)という点で)。
そのため、従来の少しでも妊娠率を上げたい!と少しずつ改良し続けていた当院の標準治療+オプション治療からそぎ落とされるものはそれなりにあり、シンプルな治療となります。
そのため、シンプルな治療でサラッと妊娠できる方への恩恵は非常に大きいですが、「シンプルな治療では思った様な採卵結果を得られない」、「採卵・培養結果は非常に良かったが、胚移植の段階で難渋してしまっている」という状況の方には、制限が大きく、負担増になることも予測されます。
次の記事からは、保険診療による制限(自費診療との併用が出来ないという点で)について書いていきます。