精液所見:正常下限基準値(WHO 2021年版)
精液所見の基準値は、2010年のWHOが発表したラボマニュアル第5版のデータが最もメジャーですが、約10年ぶりに第6版が改訂されましたので紹介します。
前置きとして、今回の表題にある「精液所見:正常下限基準値」とは、どういう意味かを説明します。
避妊中止後に、1年以内にパートナーが妊娠した男性の精液所見の内、下位5%のデータを基準値として示しています。
⇒繰り返しになりますが、この基準値は「1年以内にパートナーが妊娠した男性の精液所見の平均値ではなく、下位5%のデータ」です。
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基準値以上であれば自然妊娠できる可能性があるだろうという基準値であり、逆に基準値未満であれば、自然妊娠した人の下位5%以下の精液所見で自然妊娠を目指していこう!という意味にもなります。
もちろん、自然妊娠できるかどうかは、女性年齢をはじめあらゆる因子に左右されますし、そもそも精液所見は大変バラつきの大きいものです。
基準値以下だと自然妊娠しないという訳ではありませんが、この基準値は「正常下限基準値」として考え、精液所見の再検やAIHへのstep upを早めに考えても良いかもしれません。
精液所見:正常下限基準値
2010年は欧米6ヶ国が対象で、2021年はアジアやアフリカの国も加わった11ヶ国が対象となっています。
11年経って対象地域を広げても、大きくは変わらないというのが分かる結果です。