保険診療の胚移植に関する制限 ③ / ⑥
この記事では、保険診療の胚移植に関する制限(自費診療との併用が出来ないという点で)について書いていきます。
細かい治療内容にも規定あり
(少し専門的な話になりますが)院内掲示資料には詳細記載しておりますが、妊娠率を少しでも上げたい!と少しずつ改良し続けていた薬剤や同一効果薬剤は単剤でという原則から、そぎ落とされる治療はそれなりにあります。それらによる影響がどれくらいあるのか懸念しています。
「自費診療での胚移植」を念頭においた「保険診療での採卵」は行ってはいけない
初見は、「ん?どういうこと?」と、なりました。
ただ、良く考えると保険ルール内では妥当だと思います。これが許された場合、胚移植回数制限を1回残していれば、保険診療の採卵+自費診療の胚移植が無限に可能となりますから。
しかし、これは現実的にはかなり心苦しい制限です。
例えば、採卵で良好胚盤胞を6個凍結できました。採卵結果は非常に良好でした。しかし、胚移植が3回連続で厳しい結果でした、となった場合。
当院は着床不全のあらゆる検査・オプション治療を準備しております。従来なら、1回目の胚移植から陰性を重ねるごとに、少しでも妊娠率を上げたい!と工夫を加えてきました(どれだけの妊娠率上昇であったかを検証することは出来ませんが、それで救われてきた方も現にいました)。しかし、ルールに従って保険診療の胚移植をこのまま3回続けていきましょう、とせざるを得ません。
つまり、保険診療の採卵で得た胚(=「保険属性胚(と当院では呼ぶことにしました)」)は、保険診療の胚移植しかできないということをご理解ください。
*この保険属性胚という言葉は、後述の記事にも出てきます。
次の記事では、凍結胚更新について書きます。