AMHとの向き合い方(具体例)
前回、「AMH2.5以下は妊娠するまで治療を継続して欲しい」という考えを提案しました。
今回は、AMHと年齢の具体例を挙げることで、「AMHが低いと急いで体外受精すべき」や「AMHが低いことを理由に体外受精を勧める医師はおかしい」や「AMHが低くても自然妊娠できる」がいずれも一面的であることを解説します。
25歳でAMH1.0。卵子は40歳相当?
・卵子の年齢は25歳です。安心して下さい。
・25歳の1周期の自然妊娠率は15~25%です。
・排卵が順調にあるならば、1周期あたりの妊娠率は同じ25歳ならAMHが1.0/3.0/5.0いずれでも変わりません。AMHが低いからといって1周期あたりの妊娠率が不利になる訳ではありません。
・採卵をすると40歳の平均獲得卵子数と同じと思って下さい。しかし、獲得できた受精卵1個あたりの妊娠率は25歳相当です。
・自然妊娠を1年目指したが妊娠せず、妊活を3年休んだ後に採卵にすすんだ=41歳の平均獲得卵子数になった後、更に44歳の平均獲得卵数になった状態で採卵にすすんだと思って下さい。
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☆自然妊娠できる可能性は十分にあるけれども、自然妊娠(一般不妊治療)で妊娠できずに採卵に進んだ時は、同年代よりも平均獲得卵子数が少なく採卵回数が多くなる傾向にあるが1個の受精卵の妊娠率は同年代と同じ。
☆治療を途中で休憩すると採卵が難渋する(採卵回数が増える)リスクが上がる。
40歳でAMH3.0。卵子は30歳相当?
・卵子の年齢は40歳です。楽観視はよくないです。
・40歳の1周期の自然妊娠率は約5%です。
・排卵が順調にあるならば、1周期あたりの妊娠率は同じ40歳ならAMHが1.0/3.0/5.0いずれでも変わりません。AMHが高いからといって1周期あたりの妊娠率が有利になる訳ではありません。
・採卵をすると30歳の平均獲得卵子数と同じと思って下さい。しかし、獲得できた受精卵1個あたりの妊娠率は40歳相当です。
・自然妊娠を2年目指したが妊娠せず、採卵にすすんだ=平均獲得卵子数は32歳なので過剰に不安視しなくても良いが、1回の胚移植での妊娠率は42歳になったと思って下さい。
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☆AMHが高いからといって自然妊娠率が上がる訳ではない。
☆採卵に進んだ時に、採卵1回あたりの平均獲得卵子数が同年代よりも多い傾向にあるため、少ない採卵回数で妊娠できる可能性が上がる(費用・時間の問題などで無限に採卵できる人は多くないため、このメリットは最終的に妊娠できるかにも直結することがある)。
☆1回の自然妊娠率は高くないが、1-2年続ければ妊娠できる可能性はある。ただし、自然妊娠(一般不妊治療)で妊娠できずに採卵に進んだ時は、平均獲得卵子数がそこそこあっても、受精卵1個あたりの妊娠率は確実に低下していくので、それが原因で最終的に妊娠できないリスクが上がる。
AMHの値だけでは判断できない
ここまで読んでもらえると、「AMHが低いと急いで体外受精すべき」や「AMHが低いことを理由に体外受精を勧める医師はおかしい」や「AMHが低くても自然妊娠できる」がいずれも一面的であるとご理解頂けたかと思います(一面的であっていずれも間違っている訳ではないということも)。
AMHとの向き合い方とは、AMHだけでなく、その他の色んな因子を総合的に考えながら向き合わなければならないので実は難しいです。
次回は、AMHとの向き合い方(一般不妊治療期間)について提案したいと思います。