COVID-19 ワクチン（新型コロナワクチン）を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望される方へ
「コロナワクチンを接種してもいいの？」という質問をよく受けます。接種するかどうかの最終判断は個人に委ねられますが、正しい情報を基に判断して頂ければと思います。
2021/8/12時点では、日本産婦人科感染症学会、日本産科婦人科学会の提言（2021.5.12/6.17）を基に判断してもらうのが最善と考えます。
下記がその抜粋になりますが、詳細は、「日本産科婦人科学会・妊婦・ワクチン」と検索すれば、一般の方も下記内容の全文を閲覧可能ですので、是非合わせてご参照下さい。
日本産科婦人科学会 新型コロナウィルス関連情報：
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=10
日本産婦人科感染症学会 女性のみなさまへ 新型コロナウィルスワクチンＱ＆Ａ：
http://jsidog.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=115447
【海外でのコロナワクチンに関する考え】
- 現時点では、妊婦さんに対する接種について⼗分な知⾒がなく、各国で⾒解が分かれていますが、世界的な流⾏拡⼤と妊婦の⼀部で重症化することから積極的に接種をすべきという考え⽅が⼤勢を占めています。
- COVID-19 mRNA ワクチンの⽣殖に関する研究はまだ完了していませんが、現時点で胎児や胎盤に毒性があるとかワクチン接種を受けた⼈が不妊になるといった報告はありません。しかしながら、中・⻑期的な副反応については、今後も情報を収集する必要があります。
【学会の提言】
- ワクチンは、現時点で妊婦に対して短期的安全性を⽰す情報が出つつあるが、中・⻑期的な副反応や胎児および出⽣児への安全性に関しては今後の情報収集が必要である。現時点では世界的に接種のメリットがリスクを上回ると考えられる。
- 流⾏拡⼤の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない。器官形成期（妊娠 12 週まで）は、偶発的な胎児異常の発⽣との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける。
- 感染リスクが⾼い医療従事者、介護従事者、重症化リスクのある基礎疾患を合併している⽅は、積極的にワクチン接種を考慮する。
- 妊婦のパートナーは、家庭での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
- 妊娠を希望される⼥性は可能なら妊娠する前に接種を受けるようにする。（⽣ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない。）
- 多くの接種経験のある海外の妊婦に対するワクチン接種に関する情報では、妊娠初期を含め妊婦さんとおなかの赤ちゃん双方を守るとされています。また、お母さんや赤ちゃんに何らかの重篤な合併症が発生したとする報告もありません。したがって日本においても、希望する妊婦さんはワクチンを接種することができます。
「じゃぁ、結局どうなの？」と言われると、私個人の考えは以下の通りです。
- 学会の提言⑥からは妊娠初期でも大きな問題はないと考えられるので、ワクチン接種希望がある人はいつでもワクチン接種しても良い。
- 学会提言②にあるように偶発的な胎児異常が発生した場合(ワクチンを接種しなくても偶発的な合併症の発生率は3-5%ある)に関連性を疑ってしまう、後悔する、心配になるという方は、ワクチン接種の1周期のみ避妊することを考慮して下さい。
- 体外受精治療中の方は、採卵や胚移植などの処置を行う日の前後3日くらいを避ければ良いと思いますが、上記同様に色々と悪影響があるのではないかと心配になる方はワクチン接種の1周期のみ避妊することを考慮して下さい。
- 既に妊娠中の方は、すぐに接種するか、妊娠12週を過ぎてからのワクチン接種とするか、非常に悩むと思います。ただ、妊娠確認のごく初期でも妊娠4週ですので、あと2ヶ月待つかどうかの話です。ワクチン接種が不安で2ヶ月の感染リスクをとるのか、徹底的に2ヶ月間感染防御と人込みを避けるのか。個人個人の状況によってどちらを選択するかは変わってくると思います。
